午前中のトレードで少し損失が出ていた。12時になり、「ランチタイムで取り返せるかもしれない」と相場を見続ける。

そして流動性が低い中での50pipsの急騰に飛び乗り、すぐに全戻し──このパターンに心当たりはないだろうか。

東京時間のランチタイム(12時〜13時)は、多くの日本人FXトレーダーが最も難しいと感じる時間帯の一つだ。

ランチタイムの相場特性

東京時間でも特に12時〜13時は、日本の機関投資家・銀行の多くがランチ休憩に入るため、市場参加者が一時的に減少する。

この「薄商い(流動性低下)」の状態では:

1. スプレッドが広がる 市場のマーケットメーカーが少なくなるため、買値と売値の差(スプレッド)が通常より広くなることが多い。これはトレードコストの増加を意味する。

2. 小さな注文でも大きく動く 流動性が低いため、普段は相場を動かさないような中規模の注文でも、価格が大きく動くことがある。

3. 急騰・急落後にすぐ戻る 方向性のない急変動(「行って来い」とも呼ばれる)が起きやすい。これがトレーダーを惑わす最大の特徴だ。

なぜランチタイムにトレーダーは引っかかるのか

「午前中の損失を取り返す」という焦り

午前中のトレードで損失が出ていると、昼休みの時間帯でも相場を見続け、取り返すチャンスを探す心理が生まれやすい。

しかし薄商いで「行って来い」の動きが多い時間帯に、この焦りの心理は最悪の組み合わせだ。

急騰を「チャンスだ」と飛び乗ったら、すぐに全戻しで損切り。これが「取り返し」どころか損失の拡大になる。

「動いた方向に乗れば儲かる」という単純思考

流動性が低い中での急変動は、強いファンダメンタルズに裏付けられた動きである可能性が低い。しかし動いている相場を見ると「この方向に乗ればいい」と単純に考えてしまう。

「薄商いの急変動ほど信頼できない」という逆張りの視点が、ランチタイムには有効なことが多い。

ランチタイムをどう過ごすか:実践的アプローチ

アプローチ1:完全ノートレードゾーンにする

最もシンプルで有効な方法は、12時〜13時を「絶対にトレードしない時間」と決めることだ。

この1時間を「昼食・休憩・午後のシナリオ構築」に使う。相場から離れることで、薄商いの罠に引っかかるリスクをゼロにできる。

アプローチ2:午後のシナリオを立てる時間にする

午前中の相場の動きを振り返り、13時以降(東京午後セッション)のシナリオを立てる。

確認事項:

  • 午前中に重要なサポート・レジスタンスを突破したか
  • 午後の経済指標発表はあるか(日銀関連、財務省発言等)
  • 夕方のロンドンオープンに向けてのトレンド方向性は?

アプローチ3:逆張りの「薄商い戦略」(上級者向け)

薄商い時の「行って来い」パターンを積極的に利用する戦略もある。

例えば:午前中のレンジ上限を急騰で突破したが、ファンダメンタルズ的な理由がない場合、「フェイクアウト」として逆張りでショートエントリーし、元のレンジ内に戻ったところで利確。

ただしこれは高度な判断を要するため、初心者には推奨しない。

ランチタイムトレードの記録をつけてみる

自分のトレード成績を時間帯別に分析したことはあるだろうか?

多くのトレーダーが、「ランチタイムのトレードは負け越している」という事実に気づく。12時〜13時の全トレードの損益を集計すると、この時間帯だけマイナスというケースは珍しくない。

もし自分のトレード記録でランチタイムのパフォーマンスが悪いなら、最も簡単な改善策は「その時間帯にトレードしないこと」だ。

相場に合わせて戦略を変える柔軟性──それがFXで長く生き残るための核心的な能力の一つだ。

ランチタイムに相場を見ながらランチを食べるのではなく、相場から離れてゆっくりランチを取る。それだけで、午後からのトレードのコンディションも良くなる。身体的・精神的なリフレッシュが、午後のトレードのパフォーマンスを向上させることも忘れないでほしい。