1900年代初頭のウォール街。「ボーイ・プランジャー(少年相場師)」と呼ばれた男が、株式市場で数百万ドルを稼いでは失い、また稼いでを繰り返した。
ジェシー・リバモア。彼の生涯は波乱に満ちていたが、彼が残した言葉は100年以上の時を超えて、現代のFXトレーダーに鋭く突き刺さる。
リバモアの核心的名言
「ウォール街に新しいことは何もない。相場で起きることは、すべて以前に起きたことだ」
There is nothing new in Wall Street. There can’t be because speculation is as old as the hills.
リバモアは、相場の動きは繰り返すと確信していた。なぜなら、相場を動かすのは人間の感情であり、人間の感情は100年前も今も変わらないからだ。
「貪欲」と「恐怖」──これが相場の本質的な動力だ。
この洞察は現代にも完全に当てはまる。コロナショック、リーマンショック、ドットコムバブル、1929年の大恐慌──これらは全て「過度な楽観→パニック→急落→底値での絶望→回復」という同じパターンを繰り返している。
FXトレーダーへの示唆:「今の相場は特別だ」「今回は違う」という考えは、多くの場合誤りだ。相場の本質的なパターンは繰り返す。歴史を学ぶことは、現在の相場を読む力になる。
「私が最も大きな損失を出したのは、自分の直感に反して行動したときだ」
I never lost money by sitting. I lost it by thinking too much.
リバモアが繰り返し強調したのは「忍耐の重要性」だ。
「何もしないでポジションを保持すること」の価値を、彼は誰よりも強く認識していた。彼の最大の利益は、強いトレンドをじっくりと待ち、そのトレンドが始まったら保持し続けることで得られたという。
彼が損失を出したのは、「相場が自分に有利に動いているのに、早すぎる利確や余計な行動を取ったとき」だという。
FXトレードへの応用:強いトレンドが発生しているとき、頻繁に売買することが収益を増やすわけではない。「良い相場では待つ」という忍耐こそが、利益を最大化する。
「相場は常に正しい」
The market is never wrong; opinions often are.
「自分の分析は正しいはずなのに、なぜ相場はそう動かないのか」──多くのFXトレーダーが感じる frustration だ。
リバモアはこの問いに対して明確に答えた:「相場は常に正しい。間違っているのは分析者の意見だ」
これは謙虚さを促す深い言葉だ。どんなに緻密な分析も、相場の現実の動きの前では単なる「意見」に過ぎない。
意見と相場が食い違ったとき、変えるべきは意見だ。相場に「間違っている」と言っても意味がない。
「多くのトレーダーは勝てる相場で小さく取り、負ける相場で大きく取る」
リバモアが観察した、プロとアマチュアの最大の違いの一つだ。
アマチュアは:
- 相場が自分に有利なとき(含み益が出ているとき)→早く確定して「小さく取る」
- 相場が不利なとき(含み損があるとき)→「取り返そう」として大きくリスクを取る
プロは逆だ:
- 有利なとき → ポジションを保持し、利益を最大化する
- 不利なとき → 素早く損切りし、損失を最小化する
「利益は大きく、損失は小さく」──この言葉はよく聞くが、実際にそれを実行し続けることの難しさをリバモアは骨身で知っていた。
リバモアの悲劇から学ぶ
リバモアは1940年、自ら命を絶った。最晩年は財政的に破綻していた。
何度も数百万ドルを稼いでは破産し、また稼ぐを繰り返した彼の人生は、相場の勝ち方を知っていながら、それを一貫して実践することの難しさを証明している。
知っていることと、実行し続けることの間にある深い溝──これがリバモアの人生が示す最大の教訓だ。
「損切りせよ」「忍耐を持て」「相場に従え」──これらの原則は全て彼が提唱したものだ。しかし彼自身も、感情に飲み込まれた瞬間に、自らの原則を破ってしまった。
リバモアの名言をFXトレードに活かす5つの原則
- 相場のパターンは繰り返す → 過去の値動きを学び、現在に応用する
- 待つことに価値がある → 良いセットアップが来るまで焦らない
- 相場は常に正しい → 自分の分析より相場の動きを優先する
- 利益は伸ばし、損失は切る → 処分効果に打ち勝つ
- 知識より実行が難しい → ルールを守る仕組みを作る(OCO注文等)
100年以上前の相場師の言葉が今も輝きを失わないのは、相場の本質が人間の感情に根ざしているからだ。そして人間の感情は、100年後も変わらないだろう。
