日本時間17時。ロンドン市場が開くと、それまで静かだったEURUSDが突然100pips動く。
「チャンスだ」と飛び込んで逆行され損切り。「危険だ」と傍観していたら、そのまま方向性が出て200pips取れたはずのトレードを逃す。ロンドン時間の急変動への対応は、多くのFXトレーダーが悩む課題だ。
ロンドン時間がなぜ急変動するのか
ロンドン市場は、世界最大の外国為替取引市場だ。世界のFX取引量の約40%がロンドン市場を通じて行われている。
東京時間(9時〜15時)の静けさから一転、ロンドン市場が開く17時頃(サマータイム中は16時頃)から流動性が急激に増す。
なぜこのタイミングで急変動が起きるのか:
1. 機関投資家の参入 欧州の主要銀行・ヘッジファンドが同時に動き出す。東京時間中に蓄積されていたオーダーが一気に処理される。
2. 東京時間のレンジ突破 東京時間に形成されたレンジを突破するムーブが起きやすい。これは、東京時間の「閾値」にある損切り注文がロンドンの流動性によってこなされるためだ。
3. 欧州経済指標の発表 PMI(購買担当者景気指数)、各国中央銀行総裁の発言、欧州の物価統計などが集中する時間帯でもある。
急変動に感情的に反応してしまう理由
アドレナリン反応
相場が急激に動くと、人間の脳は「脅威またはチャンス」と認識し、アドレナリンを分泌する。
このアドレナリン反応は、身体的な緊急事態(猛獣に追われる等)には適切な反応だが、FXトレードには有害だ。
アドレナリンが分泌された状態では:
- 分析的思考(前頭前野)が低下
- 即座の行動(闘争・逃走反応)が優先される
- リスク評価が大雑把になる
結果として、「分析なしの衝動的エントリー」が起きる。
「乗り遅れ」の恐怖(FOMO)
相場が急に動き始めたとき、多くのトレーダーが「このムーブに乗れなかったらどうしよう」という恐怖を感じる。
この**FOMO(Fear Of Missing Out)**は、特に「すでに動いている」という状況では強くなる。「もう50pips動いてしまった。今から入ったら遅いかもしれないが、さらに100pips行くかもしれない」という思考が、冷静な判断を妨げる。
ロンドン時間を攻略するための心理的準備
1. ロンドンオープン前に「シナリオカード」を作る
毎日16時30分頃(ロンドンオープン30分前)に、2〜3つのシナリオを書く。
例:
- シナリオA(上昇): EURUSDが1.0850を超えたら、1.0860でロング。損切り1.0830、利確1.0900
- シナリオB(下落): 1.0820を割り込んだら、1.0810でショート。損切り1.0840、利確1.0760
- シナリオC(レンジ継続): どちらも明確に動かなければノートレード
このカードがあることで、相場が急変動したときに「シナリオAが発動した」「シナリオCだ」と淡々と判断できる。感情的な反応ではなく、事前の計画に従うだけになる。
2. 最初の急変動には乗らない
ロンドンオープン直後(17時〜17時30分)の最初の急変動は、「フェイクムーブ」である可能性が高い。
ロンドンのトレーダーたちは、東京時間中に設定された個人投資家の損切り注文(レンジの上下に集まっている)を刈り取った後に、本来の方向性を出すことがある。これを「ロンドンフィックス前の罠」と呼ぶトレーダーもいる。
最初の急変動の後に一度落ち着き、方向性が定まったことを確認してからエントリーする方が、ダマシに引っかかりにくい。
3. ボラティリティに合わせたポジションサイズ
東京時間のポジションサイズをそのままロンドン時間に当てはめてはいけない。
ロンドン時間はボラティリティが高いため、同じポジションサイズでも損失額が大きくなりやすい。ATR(Average True Range)を参考に、ボラティリティが高い時間帯はポジションサイズを小さくするルールを設ける。
「急変動を楽しめる」メンタルへ
ロンドン時間の急変動を「脅威」ではなく「機会」として見れるようになると、メンタルが大きく変わる。
事前準備が整っていれば、急変動はシナリオが発動するチャンスだ。準備していなければ、急変動は脅威になる。
「準備不足の急変動 = 脅威」「準備完了の急変動 = 機会」
この違いを作るのは、16時30分の30分間の準備だ。毎日たった30分の事前分析が、ロンドン時間のメンタルを根本的に変えてくれる。
